ワークライフバランスの観点に加えて長時間労働は社員の心身の健康に大きな影響を及ぼす可能性があり、経営上も大きなリスクとなります。
法律では、労働安全衛生法により「健康保持増進のための措置」が定められており、労働者に対し医師による健康診断を実施する義務を課しています。
また、以下のように長時間労働者への医師による面接指導の実施も義務付けられています。
労働安全衛生法により、時間外・休日労働時間が1ヶ月あたり80時間を超えた場合には、労働者からの申し出により医師による面接指導やそれに準ずる措置(保健師等による保健指導、労働者の疲労蓄積度チェックリストによる疲労蓄積度の把握、産業医から事業者への健康管理に対する助言等)を実施することが努力義務とされています。
時間外労働が100時間を超えた場合は、労働者の申し出があれば医師による面接指導を必ず実施しなければなりません。また、医師は労働者の勤務状況や疲労の蓄積状況、心身の状況を確認し、会社は医師からの意見聴取を行います。面接指導の結果についても記録を作成し5年間保管することが求められ、就業場所の変更や作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置も取らねばなりません。
安全衛生の様々な措置について、最終的な責任を負うのは事業者です。事業者が労安衛法の規定に違反すると、多くの場合、懲役や罰金などの罰が科されます( 労働安全衛生法第12章)。
また、労働者災害補償保険法の脳・心臓疾患の認定基準の考え方では、2〜6月平均で1ヶ月あたり概ね80時間を超える残業をしていた場合、業務と発症との関連性が強い(つまり労災である)と判断される可能性が極めて高くなり、月100時間を超える残業をした場合はそれが一度であっても業務と発症との因果関係は強いという判断になります。
上記からわかるように労働時間が長時間となることで、コンプライアンス上の諸問題につながりますので、労働時間の短縮化を図る必要があります。なお、弊社では、面接指導の通知書や面接指導の申出書、健康診断問診票、面接指導結果票等の各種ツールもご用意しておりますので是非ご相談下さい。