多田国際社会保険労務士事務所
アクセスマップ
お問い合わせ 03-5759-6340
企業におけるワークライフバランス制度構築をサポートする
ワークライフバランス対談
HOME > ワークライフバランス対談 > なぜ進まない? 女性の活用と管理職登用

ワークライフバランス対談

なぜ進まない? 女性の活用と管理職登用

労働人口の減少が懸念される日本。企業は「女性社員を戦力化したい」「女性の視点をビジネスに活かしたい」というニーズが高まる一方、女性社員を上手に使えない“悩める男性上司”といった問題も生じている。欧米諸国と比較して女性の管理職登用が進まない理由は何か。その解決のために必要な視点や戦略は何か。今回は株式会社キャリエーラ代表の藤井佐和子氏を迎え、延べ13,000人以上のカウンセリング経験を生かした現場起点の女性活用を伺った。

藤井 佐和子氏 (ふじい・さわこ)
株式会社キャリエーラ代表/キャリアカウンセラー

1968年3月生まれ。大手総合人材サービス企業にて、派遣事業部、人材紹介事業部の立上げに携わる。主に女性を対象とした転職支援チームを立上げ、数多くの転職を支援。その後、独立。延べ13,000人以上のキャリアカウンセリングを行う一方、数多くの企業に対し、研修やスキーム作りなど人材育成支援を行う。その他、大学の非常勤講師、講演、キャリア研修、執筆など幅広く活動。

女性社員には通用しない「あ・うんの呼吸」

多田

藤井先生は女性を対象にした個別カウンセリングがご専門ですが、最近は企業から女性活用研修等のご依頼も増えているそうですね。企業が抱えている課題について、何か特徴的な傾向などはありますか?

藤井

大きく分けると4つあります。一つは従来からの延長線上で「いかに女性一般職を活用すればよいのか」。次に「一つ上のステージでいかに活躍してもらうか」。そして「管理職候補の女性社員をいかに育成するか」や「既に管理職として働く女性が男社会の中でいかに成果を上げるか」といったものです。

多田

企業側には「女性を活用してもっと戦力化したい」という意図があると思いますが、現場で彼女たちと接する男性上司には悩みや困惑があるということも聞きます。

藤井

ええ。女性社員の育成に苦労されていますね。現場でヒアリングすると「女性社員が何を考えているのかわからない」「どう関わったらいいのかわからない」という声をよく聞きます。要するにコミュニケーションがとれていないんです。

多田

男同士なら「あ・うんの呼吸」で済むものが、女性相手だとそうは行かないと言うことでしょうか?

藤井

はい。男性とは違って女性社員は勝手には育たないんです。自ら腹をくくって頑張る所まではちゃんと見てあげないと、途中でポキっと折れてしまうこともありますから。また、将来を見据えた成長を促すことができていないケースも多いですね。

「面白い研修だった」では変化は起きない

多田

男性と女性では指導法を変える必要があるわけですね。女性社員向けの研修についてはどのようなポイントがありますか?

藤井

私の場合、まず始めに軽いマインドテストを行います。これで何を見るかというと、その人が、同じ会社でなくてもいいのですが、ずっと働き続ける覚悟を持っているかどうか。その覚悟がないと、結婚や出産などのライフイベントを乗り越えて仕事を続けられないんですね。もう一つは自分の強みを理解した上でその能力を発揮できているかという点です。

多田

「①覚悟を持つ②目標までの具体的なアクションプランを考えさせる。
このような内容を盛り込むことが効果的なのですね。
多くの企業は、漠然とした女性活用への問題意識があり、とりあえず、なんとなく研修というような流れに走りがちです。漫然と研修を行うのではなく、会社として「女性に管理職として活躍して欲しい」「後輩のロールモデルとなるような女性を増やしたい」というメッセージを強く押し出すとともに、現場が抱えているそれぞれの課題「妊娠したらすぐにやめてしまう・・・」とか、
「管理職になる覚悟がない」とかを人事部が共に発見し、そこに向けて、女性のマインドセットを促し、活躍する具体的なイメージとそこまでのステップを思い描くことができる教育が必要なのですね。」

藤井

はい。企業によって背景や課題も異なりますから、現場の問題点を一緒に見つけていくことが必要ですね。たとえば、ワークライフバランスの問題を取り上げる場合も「女性が定年まで働くためには?」というテーマで、仕事と生活を両立させるために、自分はどう考え、どう行動すべきなのかを話し合う場を設けたりしています。そこまでやってあげないと、結局、意識は変わらないんだろうなと感じています。

多田

研修を受講して「面白かった!」「満足した!」というだけでは変化は起きないわけですね。やはり「自分ゴト」として捉えないといけない。意識と行動を結びつけることが大事ですね。

「女性は管理職になりたくない」は本当か?

多田

次にお伺いしたいテーマは「女性の管理職登用」です。以前から「女性は管理職になりたくないのでは?」という見方もありますが、最近その傾向がちょっと変わってきたように思うのですが?

藤井

そうですね。若い世代の意識は変わってきたと感じます。決して「管理職になりたくない」わけじゃない。本来、女性は人に知識を教えることや人を育てることは嫌いじゃないんです。ただ、いざ管理職となると最初はイヤだという。なぜかというと長時間労働がネックなんですね。管理職になるタイミングは30代半ば〜40代。ちょうど出産や子育てといったライフイベントが発生する時期と重なるので「やってみたいけど躊躇する」というのがホンネだと思います。

多田

従来の管理職イメージからくる不安ですよね。だとすれば、企業はそのイメージを払拭しなくちゃいけない。責任ある立場になっても生活と両立できるような仕組みを企業がつくる必要がありますね。もっと現場の声を聴いて具体的にどんな制度が必要なのか。もう一歩踏み込むべきじゃないかなと思います。

藤井

制度を変えるとなると、人事評価のしくみも変える必要が出てきて・・。かなりの大仕事になりますが、そこは多田先生の専門領域でいらっしゃるわけですよね。

多田

そうですね。働く人の意識と同時に、コンプライアンスを踏まえて人事制度を変革していくことが必要ですね。気持ちや根性では現実は変えられないですから。

「なぜ管理職になって欲しいか」説明が必要

多田

管理職になってほしい女性社員に対して、上司がそれをうまく伝えられているかという問題もありますね。

藤井

先ほどの「あ・うんの呼吸」と同様、接し方の問題です。女性に対しては「なぜ管理職になってほしいのか」を具体的に説明して、上司が期待していることをきちんと伝えると、本人も「だったらやってみようかな」となるんですね。

多田

「キャリアを積めば管理職になるもの」と思っている男性社員と同じ感覚で女性に接するから上手くいかないわけですね。

藤井

女性は出世が第一の目的ではないですから。そこを説得するには「管理職とはこういう仕事をする人のことで、あなたにはこんなリーダーになってほしいと期待しています」というアプローチが肝心です。

多田

女性社員を前向きにするためには時間をかけて説明しないといけない、と。そして何より大事なのは、管理職というものに対する意識の差を、上司がしっかり理解しておくことですね。

藤井

そこがわかっていないから「断る女性はやる気がない」と憤慨してしまう。そうではなくて「管理職になることであなたはこう成長できる」という風に具体的に伝えていけばギャップは埋まっていくと思います。

多田

管理職の役割や業務、その先にある自己成長について、「わが社の管理職とはこういうものなんだ」と明確に伝えられるようにする。それは男女を問わず、大事なことだと思いますね。また、企業人事は、これから女性社員の能力をもっと引き出すために当人のキャリアにもっと踏み込んでサポートしていくべきだと感じました。
藤井先生、きょうはお忙しい中、ありがとうございました。

Tomoko’s Eye [対談後記]

女性の活用や管理職登用という大きなテーマについて、現場に精通していらっしゃる藤井先生から
非常にシャープな視点と、実践的なアドバイスを頂いた。
「教育が先か? 辞めない仕組みが先か?」という日頃からの疑問に対しては、
企業は悩むところだが、教育だけで満足していてはいけない。
まずは辞めない仕組みをつくりベースを固めた上で教育をしていく必要があると感じ、
また、なぜ女性は管理職に登用されることを喜ばれないのか?という問いに対しては、
阻害要因があれば企業は取り除かねば先に進めない。もっとニーズを汲む必要があると確信した。
〒141-0032 東京都品川区大崎1-6-1 TOC大崎ビルディング17階
アクセスマップ
メールフォームからのご相談はこちら