勤務先の女性上司にマタニティハラスメントを受けたとして、女性職員が介護サービス会社「ツクイ」と上司に計500万円の損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁小倉支部は4月19日、会社と上司に35万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
判決によれば、この女性上司は女性が妊娠に伴い業務軽減を申し出た際に、「妊婦として扱うつもりはない」等と発言し、体力を要する業務を約3か月継続させたということです。
判決理由で「流産しても構わない覚悟で働くべきだという認識を与える。妊産婦労働者の人格権を害する」と述べ、従業員の健康に配慮する義務に違反したと認定しました。
労働基準法では、妊産婦は軽易業務への転換の請求権が保障されています。また、本件は男性上司ではなく女性上司により行われたことも注目です。また、軽易業務への転換義務についての基本的な理等が少しでもあったならこのようなことにはならなかったのではないでしょうか。
管理職への労働基準法、女性に関する法律の理解がいかに重要かを考えさせられる事件です。
第六十五条 使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
2 使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。
ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、
その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
3 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。